2017年11月13日月曜日

ヤフオク「貨幣」カテゴリがカード決済不可に

Yahoo!JAPAN(東京都千代田区、東証1部上場)は、国内最大のリユースサイト『ヤフオク!(旧Yahoo!オークション)』の商品代金決済に利用する『Yahoo!かんたん決済』の規約を一部改正しました。今回の改正では、バックパッカーや在外日本人が外国通貨をやりとりするケースもある『貨幣』サブカテゴリのすべての出品について、クレジットカードでの決済ができなくなりました。

Yahoo!かんたん決済では従来から日本国内で通用する商品券やプリペイドカードなどはクレジットカードの利用枠現金化に利用される恐れがあるとしてカード決済が禁止されてきましたが、2017年に入って同種のスマートフォン向けサイト『メルカリ』で日本円の現行紙幣が大量に出品、額面以上で落札されるケースが相次ぎ社会問題化にまで至りました。その後、メルカリの運営会社(東京都港区)からYahoo!JAPANに相談があり、業界団体『EC事業者協議会』が設立されます。メルカリは既に15年以上の実績があるヤフオクからノウハウの提供を受け、禁止基準をヤフオクのそれに極力合わせる方向性が決められ、この過程でYahoo!側も警察の指示に従い、自社をより一層厳しく律していくことになりました。

5月26日付で、『商慣習上相当な範囲を超えて現金等を取得させることを目的とした、またはそれらの可能性があると当社が判断した商品等』を出品禁止とする、メルカリが先行した規制をヤフオクにも導入。11月8日(水)付プレスリリースで、『転売する目的で入手したと当社が判断するチケット』が出品禁止物と定められ、見つけ次第削除されることになりました。同時に、Yahoo!かんたん決済の支払い方法にクレジットカードが使えないカテゴリとして『アンティーク・コレクション』カテゴリの下の『貨幣』サブカテゴリが追加されました。

貨幣サブカテゴリでは、韓国ウォンやタイバーツなど、日本の外貨両替所に持って行くと円への交換レートが不利になる外貨を中心に一定の需要があり、少しでもまとまった金額が出品されるとすぐにその時の為替レート相当額まで釣り上がって落札される傾向があります。このような商品を競り落とす人も多くはクレジットカードで決済していたと見られ、実際に外国に行く人よりもカードの枠現金化目当てで落とす人の方が多いと会社側が判断して今回の規制が決まったのではないかと分析します。

ただ、残念なのはYahoo!側がこの件について、わざわざお知らせを出す程でもない些細な案件と認識していることです。2013年のTポイント本格導入に合わせたJALマイレージバンク(JMB)へのポイント交換終了をわずか2行のお知らせで片付けた時以上の無責任ぶりで、上場企業の個人顧客に対する態度として、到底許されるものではありません。

なお、過去の売上金をチャージできる電子マネー『Yahoo!マネー』(本人確認完了後で500万円まで)と、売上金のプール分(50万円まで)については今後も貨幣カテゴリでの落札代金決済に使うことができます。

(11月15日追加)
司法当局は、このような事例はフリマでの販売を装った高利貸しにあたる(落札金額のうち額面を上回った分を貸出利息とみなす=出資法5条・8条違反、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金と判断し、出品者を刑事立件するなど厳しい態度で臨む方針です。

2017年11月4日土曜日

期間工を正社員に昇格させない裏技

日本の自動車メーカー各社は、正社員として雇用している従業員の他に、雇用期間を切った契約社員である『期間従業員』を使っています。70年代以前は農閑期に仕事がない農業従事者を中心とした季節労働者の受け皿として使われてきましたが、今は現場作業員を安く使うための『雇用の調整弁』へと変化してきました。そして、この調整弁機能を今後も存続させる抜け道を政府・自民党に作らせ、実際に利用しはじめようとしています。

朝日新聞は11月4日付朝刊の1面トップに

『車大手、期間従業員の無期雇用を回避 法改正骨抜きに』

という見出しを立てました。アルバイトや契約社員の長期雇用を推進するため、2013年(平成25年)に改正された労働契約法(2007=平成19年法律128号)に抜け道条項が存在し、改正内容が骨抜きにされると指摘しています。

期間従業員を含む契約社員は

「必要以上に短い期間を定めることによりその有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない」(労働契約法17条)

とされており、表向き、1年に満たない単位で契約を更新するなどということは困難になりました。董事長ふくちゃんは1990年代にヤマト運輸(東京都中央区)に契約社員(社内呼称『パート社員』)として勤務していたことがあり、当初1年単位で契約していたのが、6カ月単位に変更されたことがあります。またヤマト運輸が直接雇用する「正規アルバイト」は現在でも、暦月2ヶ月の契約期間を終えた後、1ヶ月空けなければ再契約することができない制度になっています。

自動車メーカー各社の期間従業員も同様で、例えばトヨタ自動車(愛知県豊田市、東証1部上場)や豊田自動織機(愛知県刈谷市、東証1部上場)では3カ月単位、SUBARU(旧富士重工業:東京都渋谷区、東証1部上場)は4カ月単位で契約を更新しますがいずれも連続して35ヶ月を超える就労はできません。農業従事者の出稼ぎなど、3ヶ月や6ヶ月などの単位で故郷に帰る人が減って、長く働くことを希望する人が増えたにもかかわらず、期間工はあくまでも期間工、以前からの制度は変わっていないのです。この期間を超えて就労を希望する場合は、正社員登用試験を受けて合格するか、次の雇用契約まで最低でも6カ月のブランクを置く必要があります。

労働契約法には『無期雇用申し込み権』が定められており、申し込みがなされた場合、雇用主はこれを拒否することができません。

「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という)が5年を超える労働者が当該使用者に対し現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす」(労働契約法18条の1)

しかし、前述した6ヶ月のブランクが、法の抜け道となっているのです。

「前の契約期間が満了した日とその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間が6ヶ月以上あるときは当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は通算契約期間に算入しない」(労働契約法18条の2)

つまり、35ヶ月を満了した期間工であっても、6ヶ月のブランクがあれば通算5年勤務に達しても無期雇用転換を申し込むことができず、期間工として再契約しなければならなくなる、逆に会社側から見れば期間工として使い続けることができてしまうのです。SUBARUの募集専用Webサイトには

「フォークリフト運転は期間工の仕事。自分はこの仕事が好きだから正社員登用を申し込まず既に2回満期再契約している」

という先輩社員の声が掲載されていますが、言い方を換えればこれも、法令の抜け道を利用して期間工で長期間使い続けていることを会社自ら認めているようなものです。

一方で、ANA(NH、東京都港区)は客室乗務員に契約社員が多かったものの、13年の法改正直後に契約社員の新規採用を取りやめ、正社員へ一本化。日本航空(JL=JAL 東京都品川区、東証1部上場)は旧JALウェイズ(JO=JAZ)がバンコクベースのタイ人従業員を多数雇用していたこともあり調整が遅れたものの、2016年4月の時点で契約社員制度自体を廃止して全員正社員に切り替えました。日本マクドナルドホールディングス(東京都新宿区、東証1部上場)やエステティックTBC(正式社名:TBCグループ 東京都新宿区、東証1部上場)などは現在いる契約社員を全員無期雇用にする方針を打ち出していますが、これらも日本社会全体の対象者の数からみればまだまだ少数派です。

ヤマト運輸をはじめとする物流など労働集約型産業や、製造業では期間工ないし契約社員の活躍が多く、それらの雇用転換が実現しなければ海外に活躍の場を求める人も出てくるでしょう。このままでは、外こもり的な生き方をする人が出るのを止めることはできないだろうと、董事長ふくちゃんは考えます。

2017年10月24日火曜日

JALとタイ国際航空の日本線コードシェア、終了へ

日本航空(JL=JAL 東京都品川区、東証1部上場)とタイ国際航空(TG=THA チャトチャック区、SET上場)は、1988年(昭和63年)から続けてきた日泰間路線でのコードシェア提携を、今夏ダイヤ限りで打ち切ると発表しました。バンコク以遠のTG運航便で行っていたコードシェアも、既に同じワンワールドメンバーズのスリランカ航空(UL=ALK、コロンボ)とバンコクエアウェイズ(PG=BKP チャトチャック区、SET上場)に切り替えられており、今回の解消で両社間の関係は顧客ベースでは完全に切れることになります。

JALとTHAIの関係は、1960年(昭和35年)にTHAIが初めての国際線を運航した時に遡ります。THAIは初の国際線の最終目的地に東京・羽田空港を選び、地上業務を当時、日本の国際線航空分野を独占していたJALに委託したのが始まりです。その後、成田空港や伊丹・大阪国際空港へ就航した時もJALに委託し、1988年(昭和63年)の名古屋~バンコク線を皮切りに共同運航をスタートさせました。この時の共同運航は、JALとTHAIが互いに毎日1便を運航し、相手社運航便の座席の一定割合を確保して互いに売り合うというもので、JL運航便をTGで始まる同一便名の便として、THAIから購入することもでき、なおかつ格安航空券でも乗ることができました。1995年(平成7年)には、関空と福岡発のJL運航便にも拡大。福岡発のJL便が廃止された後も、暫くはそのままの形で続けられました。

しかし、THAIは1997年(平成9年)にスターアライアンスの結成に参加します。そのスターアライアンスにANA(NH、東京都港区)が参加すると、スターアライアンスを通じたANAとの関係構築にあたって、これまで築いてきたJALとの関係が一転、制約に変わります。

スターアライアンスでは、メンバー社が他のアライアンスに加盟する航空会社と関係を持つにあたって、厳しいルールを設けています。他のアライアンスの加盟社とコードシェアをしている便では、自社以外のスターアライアンスメンバーズがコードシェアをすることができず、マイレージも自社以外のスターアライアンスメンバーズのプログラムには加算できません。包括的な業務提携や、資本提携に踏み切る場合は、スターアライアンス社長会の了承が必要です(前記事「ガルーダ航空のスカイチーム加盟が確定」参照)

THAIは2004年(平成16年)、JALとの同一便名による共同運航を終了して、THAI運航便にJALが4桁便名でコードシェアし、使える券種は普通運賃か正規割引(PEX)、つまりJALが直接乗客に販売した券種に限るとするルール変更をしました。他の航空会社が行っている、一般的なコードシェアのルールに合わせた訳です。しかし、JALがコードシェアしているTHAI便にANAがコードシェアできない規定はそのまま残ったため、ANAは関空~バンコク(スワンナプーム)線で時間帯的にドル箱のTG623/622便にコードシェアすることができず、中部セントレア~スワンナプーム線も日航破綻でJAL便が一時廃止されたにもかかわらず、ANAは新規にコードシェアできる便がない事態に陥りました。

THAIではJALに関係見直しを申し入れ、JALもコードシェアパートナーをバンコクエアウェイズに順次切り替えることにしたものの、成田線のJL運航便までPGへの移行が進んだところでタイ運輸省に対する国際民間航空機関(ICAO)のSSC発行があり、コードシェアも含めて新規路線設定や増便ができなくなったため、以後は延期されていました。そして今年10月、SSCが解除される見通しが立ったことを受けてTHAIは改めてJALに関係の見直しを要請して受け入れられ、コードシェアの完全終了が決まりました。

2017年10月17日火曜日

2代目エアアジア・ジャパン就航へ!まずセントレア~新千歳線から

エアアジア・ジャパン(DJ=WAJ、愛知県常滑市)は、10月末からの今冬ダイヤで運航を始めるメドが立ったとして、中部セントレア~新千歳線の運航を開始すると発表、航空券の販売を始めました。

《10月29日から有効》
DJ001 NGO0735~CTS0925 DAILY
DJ003 NGO1710~CTS1900 DAILY
DJ002 CTS1000~NGO1205 DAILY
DJ010 CTS1935~NGO2140 DAILY

(機材はエアバス320ceo 普通席=エコノミークラスのみ180席)

2代目エアアジア・ジャパンは、ANA(NH、東京都港区)との合弁で設立されながらわずか1年で撤退に追い込まれた初代(JW=WAJ、現・バニラエア/JW=VNL)の夢を諦められなかったAirAsiaグループと、楽天(東京都世田谷区、東証1部上場)など日本側有志企業、それに投資ファンドの出資で2014年に設立されました(前記事「2代目エアアジア・ジャパン始動へ」参照)

最速で15年夏ダイヤからの運航開始を目指し、航空運送事業許可(AOC)の取得を最優先させた2代目エアアジア・ジャパン。機材はAirAsiaグループがエアバスに対して持っている発注残で調達できる、運航乗務員も外国人で構わないという他の国のAirAsiaと同じ手法で、一刻も早くAirAsiaの赤い飛行機を再び日本の空へと、トニー・フェルナンデスCEOは目論んでいました。

しかし、やはりパイロットは日本人を集めないとダメということになり、日本側出資企業の一つ、ノエビアホールディングス(神戸市中央区、東証1部上場)の子会社『ノエビアアヴィエーション』(大阪府八尾市)と提携して養成することにしたものの予定より遅れます。安全管理体制確立も後回し。それを見かねた日本人トップがサジを投げるかのように退職し、スカイマーク(BC=SKY、東京都大田区)出身の井手隆司会長と有森正和副社長兼CFO(財務責任者)を迎えるといったドタバタが相次ぎ、気が付く頃には当初の予定から2年以上もずれ込む始末になっていました。

東京で編集されている業界専門サイト『Aviation Wire』は井手会長の話として

「AirAsiaグループ側は事業許可(AOC)さえ取ればすぐに運航を始められると思っていたようだが、何よりも安全体制の確立が先。機材も来る前にAOCだなんて、日本の常識で言ったら逆だろう」
「当初の事業計画通りならば、17年冬ダイヤでは中部セントレアをハブに国内2路線、国際6路線を就航させているはずだった。18年にはAirAsiaX(D7=XAX)と同じエアバス333の導入も検討されていた」

と伝えており、事業計画の見積もりの甘さと、深刻な社内の状態を覗わせていました。しかし、井手会長が直前で代表取締役を退いて会長執行役員になるなど身を削る努力を重ね、ようやく運航開始に漕ぎ着けた形となりました。

2017年10月14日土曜日

「阪急阪神との密接度」で対応が分かれた!

近畿圏の民鉄・公営交通各社局で構成する『スルっとKANSAI協議会』と、その事業会社『(株)スルっとKANSAI』(大阪市中央区)は、1996年(平成8年)から続けてきた磁気式ストアードフェアカード『スルっとKANSAI』のシステムを終息させる計画を実行に移します。2018年(平成30年)1月31日限りで自動改札機での共通乗車を終了し、翌2月1日からは阪急阪神東宝グループ内での利用が基本となりますが、終了後の対応が阪急阪神との関係の密接度で、大きく二分されます。

《阪急阪神東宝グループ内では従来通り》
阪急電鉄と阪神電気鉄道(どちらも大阪市北区、日本民営鉄道協会加盟)、北大阪急行電鉄(大阪府豊中市)、能勢電鉄(兵庫県川西市)の阪急阪神東宝グループ4社では、今年4月1日から後継商品『Railway CARD(レールウェイカード)』の販売を始めました(前記事「スルっとKANSAIが『阪急阪神東宝グループ専用』になる」参照)。4社が3月以前に販売したスルKAN対応磁気カードについては、18年2月以降、4社線相互間の利用に限り自動改札機でのストアードフェア乗車など全機能が使える他、4社(特に阪神電鉄)と相互直通運転がある近畿日本鉄道(大阪市天王寺区、民鉄協加盟)と山陽電気鉄道(神戸市長田区、東証1部上場)の両社、連絡乗車の需要がある京都市営地下鉄、神戸電鉄(神戸市兵庫区、東証1部上場)、北神急行電鉄(神戸市北区)の各社局では乗り越し精算機と自動券売機で引き続きスルKAN磁気カードを使えるようにします。ただし、Railway CARDは2月以降、4社以外の精算機や券売機では使えません。

《阪急阪神以外発行のスルKANカードは?》
大阪市交通局(大阪市西区)では、阪急電鉄との直通電車が走っているにもかかわらず18年1月の共通乗車終了をもって、すべてのスルKAN磁気カードの取り扱いを終了します。2月以降は、自局発行の『Rainbow Card(レインボーカード)』や前身で自動券売機専用の『タウンカード』も含め、払い戻しのみの対応となります。

なお大阪市営地下鉄は18年4月に独立会社化されますが、新会社「大阪市高速電気軌道」も、交通局の施策を引き継ぎます。
同様の対応をするのが、南海電鉄(大阪市浪速区、東証1部上場)と京阪電鉄(大阪市中央区、東証1部上場)で、こちらは阪急阪神との直通電車が走っていない上、大阪市営を含めた3社局共に後継商品としてJR西日本(大阪市北区、東証1部上場)の『ICOCA(イコカ)』を既に販売しています。

ただし、これら取り扱いを終了する社局が発行したスルKAN磁気カードであっても、阪急阪神東宝グループ4社と近鉄、山陽電鉄、京都市営、神戸電鉄の駅の自動券売機と精算機では引き続き受け入れるため、これらの会社を利用する機会があるのであれば払い戻し一辺倒になる必要はありません。

しかし、沿線に関西国際空港を抱える南海と、神戸空港があるポートライナー(神戸新交通:神戸市中央区)での取扱が終了するのは近畿圏外からの利用者にとって非常に痛いことです。近畿圏内でも兵庫県在住の方であれば、難波駅で南海と阪神を乗り継ぐ際にスルKANカードで乗り通していた方も少なからずいるはずで、2月以降はPiTaPaがあるならまだしも、持っていない場合はICOCAへ切り替えなければなりません(ICOCAは阪急阪神の駅でも全国相互利用扱いでチャージできる)。

なお阪急阪神ではICOCAも含め、全国相互利用対応のICカードは基本ストアードフェアのみで、自動券売機での切符の購入や乗り越し精算に使えないため、最悪の場合は交通系ICカードを持っている方でもRailway CARDを現金で購入し、使い分けなければいけないケースもあります。
《スルKANエリア専用のICカードもある》
ICOCAには小学生用の『こどもICOCA』はありますが、障害者などの特別割引には対応していません。JR西日本を含むJRグループでは、障害者特別割引運賃が片道101Km以上の長距離のみの対応となっているためです。これに対しスルKANでは、『小児用』とは別に『特別割引用』磁気カードの設定もありました。小児用はこどもICOCAと『PiTaPaキッズカード』に移行しますが、特別割引用はどちらにも設定がないため、スルKANではPiTaPaエリア内のみで使用できるプリペイド式の『特別割引用ICカード』を開発、今年4月から発行を始めています。これであれば、阪急阪神東宝グループ4社と南海・京阪などスルKAN対応を完全終了する会社の間でも1枚のICカードで乗り通すことができます。

《神戸市営の独自カードは存続》
神戸市交通局(神戸市中央区)では、市営地下鉄・バスのみで利用できる『NEW Uラインカード』と、スルKAN対応の『こうべカード』を並行で販売してきました。今回、『こうべカード』は取扱終了となりますが、NEW Uラインカードは存続し、払い戻しの対象にもなりません。

2017年10月11日水曜日

タイへのICAO重大懸念、2年ぶりに解除へ

国際民間航空機関(ICAO:カナダ・モントリオール)は、タイ運輸省航空運輸局(CAAT、サトーン区)の許認可体制に問題があるとして出していた重大な懸念(SSC)を、今月いっぱいで解除する方針を固めました。10月6日に本部で行われた臨時理事会の席上、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)のミサイル発射実験による国際線航空路妨害を非難する決議と合わせて日本など理事国が合同で提案し、認められたものです。

タイでは2000年代中頃以降、LCC(格安航空会社)やチャーター専門キャリアなどが多数設立されましたが、中でもチャーター専門キャリアの事業計画が甘く雨後の筍のごとく現れては次々と消えていきました。日本への便を運航した会社でも、ビジネスエア(8B=BCC)やジェットアジアエアウェイズ(JF=JAA)は既になく、アジアアトランティックエアラインズ(HB=AAQ、クロントイ区)も当初の計画と比べてうまく行っているとは必ずしも言えません。

この状況を重く見たICAOは2015年2月、タイ運輸省へ抜き打ち監査に入り、AOC(航空運送事業許可)の審査体制が不十分だとしてSSC指摘を内示。6月、正式にSSCの発行を受けました(前記事「ICAO重大懸念でノックスクート運航開始できず」参照)

日本や欧米など先進国はSSCを発行されている国の航空会社について、新規路線の開設や既存路線の増便、新機材導入をできなくする制裁措置を設けているため、タイ国際航空(TG=THA チャトチャック区、SET上場)は増便ができず、エアバス359やB789などの新機材を日本線へ投入できない状態。タイエアアジアX(XJ=TAX、ドンムアン区)は新千歳~ドンムアン線の開設を見送りました。ノックスクート(XW=NCT、ドンムアン区)は成田・関空~ドンムアン線の開設ができず、代わりにScoot(TR=TGW、シンガポール)がシンガポール発ドンムアン経由で就航する事態になりました(前記事「Scoot成田線にバンコク経由便が登場」参照)

プラユット・チャンオチャ首相とアーコム・トゥームピタヤパイシット運輸大臣はSSC解除を目指し、国際協力機構(JICA、東京都千代田区)を通じて国土交通省航空局(JCBA、東京都千代田区)や欧州航空安全庁(ドイツ・ケルン)などに支援を要請。日本はCAATがこのまま制裁を受け続けた場合、内閣総理大臣・安倍晋三(自民党、衆院山口4区)が掲げる「2020年までに訪日外国人年間4000万人」という目標の達成に支障が出ると判断し、要請を受け入れることにしました。そして、CAATの体制を2年かけてゼロから見直すと共に、AOCを受けている国内の各航空会社に対して再認証の手続きを行いました。

再認証は今年2月のバンコクエアウェイズ(PG=BKP チャトチャック区、SET上場)を皮切りに、THAIやタイエアアジア(FD=AIQ)なども順次手続きを完了。今年6月、正式にSSC解除を求める嘆願書がICAOへ提出されていました。ICAOでは11月の定例理事会で審議して、来年3月の夏ダイヤまでに解除する予定でしたが、北朝鮮のミサイル問題に伴う緊急決議案を審議する臨時理事会で併せて取り上げることにし、早まる結果となりました。

東京で編集されている業界専門サイト『トラベルビジョン』は、国交省航空局国際航空課担当者の話として

「ICAOの報告書を検討し問題ないと判断した時点で制裁を解除する」

と伝えました。タイ国際航空日本支社(東京都千代田区)も「国交省の対応を注視する」とのコメントを出したと報じられています。タイエアアジアXは、10月中にSSC解除が実現することを条件に12月から関空~ドンムアン線の増便に踏み切る予定で、既に航空券の販売を始めています。

《12月1日から有効》
XJ612 DMK0155~KIX0840 DAILY
XJ613 KIX0955~DMK1355 DAILY

(機材はエアバス333 プレミアムフラットベッド=ビジネスクラス12席、レギュラーシート=エコノミークラス365席)

2017年10月7日土曜日

小田急線は全線クレジットカードで乗れる!

小田急電鉄(東京都新宿区、東証1部上場)は、社会のキャッシュレス化に対応した施策として交通系電子マネーに続いて、クレジットカードにもフレンドリーな体制を確立しました。JR6社は全線クレジットカードで乗車券を購入できますが、私鉄でここまでのレベルを構築したのは関東初。自社でクレジットカードを発行している故にできる、最強のサービスです。

小田急線全駅の自動券売機(交通系ICカードチャージ専用機を除く)は、VISA、MasterCard、AMEX、Diners、JCBの主要5系列と、小田急が2005年まで発行していた『OPクレジットハウスカード』(旧小田急フリーカード)に対応しています。他社では自社系のクレジットカードのみ対応で、購入できるのも定期券だけというところが多いものの、小田急では普通乗車券、回数券、特急券、定期券、フリーパス(企画乗車券)に至るまで、ほとんどの商品をカードで決済することができます。

唯一、自動券売機でカードが使えない他社線への連絡普通乗車券も、駅の窓口であれば決済できます。これは、JR線へ直通する特急ロマンスカーあさぎり号があるための措置。あさぎり号で御殿場駅(静岡県御殿場市)や駿河小山駅(静岡県小山町)まで行かれる方も恩恵に与かれます。小田原駅(神奈川県小田原市)で東海道新幹線やJR東海道線へ乗り継ぐ場合は、OPクレジットハウスカードなら窓口に申し出れば通しで決済可能。国際ブランド付きは小田原駅まで券売機でカード決済して、JR側の指定席券売機でJR線部分を買い直すこともできます。

2017年10月3日火曜日

トラベラーズチェックの換金が年々困難になる!

日本では2014年3月でトラベラーズチェックの販売がすべて終了となり、現在は換金のみを受け付けています。しかし、今年から換金できるチェックの種類が大幅に制限され、海外から持ち込まれたT/Cの換金にはほとんどの銀行が応じなくなってしまいました。

JP BANK ゆうちょ銀行(東京都千代田区、東証1部上場)は、2016年5月2日(月)でトラベラーズチェックの買い取り業務をすべて終了しました。14年の販売終了後は、それまで扱っていたアメリカンエキスプレス(AMEX ニューヨーク、NYSE上場)発行のT/Cに限って、全国の大きな郵便局に併設された直営窓口と、外貨両替を扱う一部の郵便局で換金に応じましたが、それも終了したことで、旧郵政省貯金局時代の1991年(平成3年)に参入したT/C関連業務から完全に撤退となりました。

三菱東京UFJ銀行(東京都千代田区、全国銀行協会加盟)は、成田空港支店(千葉県成田市)と中部国際空港出張所(愛知県常滑市)で扱っていたAMEX発行T/Cの換金について、3月31日(金)で終了しました。4月1日(土)以降は、旧東京銀行系だった子会社の東京クレジットサービス(東京都中央区)が運営する外貨両替専門店『ワールドカレンシーショップ』で取り扱いを継続するものの、さらに10月1日(日)付で日本アメックス(東京都杉並区)発行のT/Cのみ受け付けるという制限がかかりました。なおワールドカレンシーショップは成田空港、中部セントレアにはありません。

現在、三菱UFJ銀行の店頭で換金できるT/Cは、次の通りです。

・三菱東京UFJ-AMEXトラベラーズチェック:2014年まで販売
・三菱東京UFJ-MasterCardトラベラーズチェック:2008年まで販売されたもの
・東京三菱MasterCardトラベラーズチェック:旧東京三菱銀行で2005年まで販売
・三菱MasterCardトラベラーズチェック:旧三菱銀行で1996年以前に販売
・東銀VISAトラベラーズチェック:旧東京銀行で1996年以前に販売
・シティコープVISAトラベラーズチェック:旧三和銀行で2001年以前に販売

みずほ銀行(東京都千代田区、全銀協加盟)と三井住友銀行(東京都千代田区、全銀協加盟)では、自行又は合併前の旧行(みずほ:富士・第一勧業、三井住友:住友・さくら・太陽神戸三井・三井・太陽神戸)で販売されたT/C以外は受け付けなくなっています。

このうち、三井住友についてはシティバンク銀行(東京都品川区、全銀協加盟)の個人向け業務を受け継いだ子会社のPRESTIA(SMBC信託銀行:東京都港区、全銀協加盟)が事実上の代替となっており、AMEXの他、欧州を中心に販売されている『Interpayment』と、旧シティバンク銀行やシティバンクNA在日支店時代に販売された『シティコープ』『シティバンク』ブランドのT/Cも受け付けています。

りそな銀行(大阪市中央区、全銀協加盟)と埼玉りそな銀行(さいたま市浦和区、全銀協加盟)もゆうちょ銀行と同様、すべてのT/Cの買取を2016年5月20日(金)限りで完全に中止しています。

地方銀行でも取り扱いできる券種がAMEXや3メガバンクとその前身行発行に事実上限られてきています。例えば広島銀行(広島市中区、東証1部上場)と福岡銀行(福岡市中央区、全国地方銀行協会加盟)は、2014年4月以降AMEX発行か自行販売分に限定。群馬銀行(群馬県前橋市、東証1部上場)もAMEX発行か自行販売分のみながら換金に応じています。百五銀行(三重県津市、東証1部上場)では2016年6月までAMEX以外の機関が発行したT/Cもほぼ制限なく受け入れてきましたが、現在はAMEXと三菱UFJ(及びその前身行)発行に限っています。沖縄銀行(那覇市、東証1部上場)はAMEXのみ、1日10万円相当額までという条件付きながら海外発行分も受け入れています。静岡銀行(静岡市葵区、東証1部上場)はAMEXのみで事前に要問合せとしています。

これに対し、成田空港に両替所を持っている千葉銀行(千葉市中央区、東証1部上場)では2016年3月でT/Cの換金業務をすべて終了しています。関西空港に両替所がある池田泉州銀行(大阪市北区、地銀協加盟)も一足早く、2012年10月でT/Cにかかわる業務を取りやめました。

ここまでの状況を整理すると、2017年10月時点で海外発行のAMEX T/Cをスムーズに換金できる日本国内の銀行は、PRESTIAといくつかの地銀しかないということになります。

では、両替専門会社はどうでしょうか。トラベレックスジャパン(東京都港区)では海外発行も含めたAMEX T/Cの他、Interpayment、トーマスクック、バークレイズ(ロンドン、LSE・NYSE上場)発行のT/Cも条件があるものの買い取りできるとしており、ジェーティービー(旧日本交通公社、東京都品川区)が1980年代以降、トーマスクックとのダブルブランドで発行したT/Cも換金可能です。

2017年9月21日木曜日

au版iPhone8以降は日本国内「4G専用」

KDDI(au:東京都千代田区、東証1部上場)と沖縄セルラー(那覇市、JASDAQ上場)は、アップル(アメリカ・クパチーノ、NASDAQ上場)の最新鋭スマートフォン『iPhone8』『iPhone8Plus』を日本向けに発売しました。auでは販売する端末について順次4G LTEへの移行を進めており、iPhoneシリーズも今世代から、au 3G(CDMA2000 1X WIN)の電波に対応しなくなります。

auでは早ければ2020年を目標に3G電波を停波して、4GLTEでNTT docomoやソフトバンクと電波形式を統一したいという経営方針を持っています。au3Gの電波形式として採用されたCDMA20001Xでは、音声通話の安定性が重視されるあまり、音声通話とデータ通信の同時進行(コカレント通信)ができないという重大な欠点があります。au 4G LTEやau VoLTEではこれが解消されることから、一刻でも早く4G LTEに一本化できれば理想だとKDDIでは説明しています。

auが販売するiPhone6・6S・7ファミリーは、au 4G LTEをベースにした『au nano IC Card(4G LTE)』を使いつつ、設定アプリでVoLTEも使えるように設定することができました。しかし、iPhone8ファミリー以降はVoLTEでしか音声通話ができない新しい仕様の『au nano IC card 04(VoLTE)』を使うため、au 3Gでの通信はできなくなります。機種変更で購入する場合は、SIMカードの交換が必要となり機械代金とは別に事務手数料が3,240円かかります(キャンペーンによりau wallet プリペイドカードへのチャージで実質無料となる場合もあります)。

日本国内のApple Storeや海外などで購入したSIMフリー版のiPhone8ファミリーにau ICカードを差し込む場合も同様で、最悪の場合はauショップにICカードの再発行を依頼することになり、手数料2,160円がかかってしまいます。

なお、NTT docomoとソフトバンク版のiPhone8ファミリーは従来通り3Gでの音声通話、データ通信ができる他、au版も日本国外ではSIMロック解除の有無に関係なく、3Gでの通信が可能になっています。

2017年9月18日月曜日

バンコク市内バスの系統番号変更、挫折か

運輸省(チャトチャック区)と首都圏バス公団(BMTA、ホイクワン区)は、バンコク首都圏内と隣接県を走る乗合バスの系統番号体系を変更する取り組みを始めようとしました。いくつかのモデル路線で新しい系統番号を表記したバスが走っていますが、乗客には不評との報道もあり、本格実施にならず頓挫することになりました。

現在の体系は、1番から207番までと、501番から559番までのすべて数字のみで表される番号。これにエアポートバス系統の[A1][A4]が加わる形となっています。この体系に変更されたのは2001年10月のことで、それ以前はエアコン(急行)バス専用の「ปอ.」(ポーオー)と、それ以外の路線である「สาย」(サーイ)の後に数字が付いた体系となっていました。

今回は、現在8つあるBMTAの管区営業所を2つずつまとめた合計4つのブロックを作り、ブロックごとのイメージカラーの頭文字の後に数字をつけるという、全く新しい体系にしようとしました。各管区ごとのイメージカラーは、次の通り。

G(緑:Green)=1管区(バンケン区)、2管区(ミンブリ区)
R(赤:Red)=3管区(サムットプラカン市)、4管区(クロントイ区)
Y(黄色:Yellow)=5管区(バンクンティエン区)、6管区(パシチャルン区)
B(青:Blue)=7管区(バンスー区)、8管区(カンナヤオ区)

そのモデル路線として選ばれた[54](ホイクワン団地~サイアム循環、8管区モーチット2支所所管)では、赤バスの前面をイメージカラーのブルーに塗り替え、新体系の番号[B44]と、従来の「สาย54」を併記した車両が投入されました。しかし、乗客の間からはสาย路線の時代から長年慣れ親しんだ[54]がなくなるなどとして激しい不評を買い、BMTAやマスコミなどに苦情が殺到しました。このため、BMTAでは9月15日付ニュースリリースで

「系統番号変更計画を一旦中止する。今後2年かけて練り直す」

と発表、計画は頓挫する形となってしまいました。