2017年1月14日土曜日

デルタ航空成田~台北線廃止!!チャイナエアラインに事実上移管

デルタ航空(DL=DAL アメリカ・アトランタ、NYSE上場)は、旧ノースウエスト航空(NW=NWA)の羽田空港時代以来通算で60年以上に渡って運航してきた成田~台北桃園線を、5月24日(水)限りで取りやめると発表しました。同じスカイチームメンバーズのチャイナエアライン(CI=CAL 台湾桃園市、台湾証取上場)が多くの便数を運航し、さらに今年夏ダイヤからはチャイナエアラインと日本航空(JL=JAL 東京都品川区、東証1部上場)とのコードシェア提携も本格的に始まることから、事実上チャイナエアラインに引き継がせる形での撤退となります。

《成田発5月23日、桃園発24日の運航をもって取りやめ》
DL069 NRT1700~TPE2035 水・木を除く週5便
DL579 NRT1700~TPE2035 水・木運航

DL068 TPE1130~NRT1535 火・水を除く週5便運航
DL578 TPE1130~NRT1535 火・水運航

(機材はB763ER デルタワン=ビジネスクラス26席、コンフォートプラス=プレミアムエコノミー29席、メインキャビン=エコノミークラス171席)
旧ノースウエスト航空は、終戦直後の1947年(昭和22年)に日本への国際線運航を開始し、中華民国へは1950年代前半に羽田~那覇(当時は米領)~台北松山~香港という路線を週3便運航していた記録が残っています。1968年(昭和43年)には、伊丹~那覇~台北という路線も開設。沖縄の日本復帰、米台断交の後も、無制限以遠権を軸としたノースウエストの日本ハブ政策によって維持され、1978年(昭和53年)の成田空港開港と同時に成田へ移動してきました。

2004年(平成16年)、成田~広州白雲線の新設と引き換えに一度は台北桃園線の運航を取りやめましたが、広州線は中国南方航空(CZ=CSN 中国広東省広州市、上海A株・香港H株上場)のスカイチーム加盟により事実上移管される形となり、2008年(平成20年)8月30日限りで廃止。翌31日から台北桃園線が復活しました。

台湾国営中央通信(電子版)は、理由について会社側が

「羽田空港の発着枠増加と成田空港の交通量減少の影響」

と説明したと報じました。しかし、ニューヨークで発行されている台湾系中国語紙『美国世界日報』(電子版)は、

「成田~桃園線デルタ便の過去3年間の平均搭乗率は80%以上で推移しており、採算は取れていたが格安航空会社(LCC)の台頭で客単価が下がっていて、それに加え同業他社が北米と中華圏を結ぶ輸送を日本経由から直行便へと切り替える流れにあるため廃止に踏み切る。実際、デルタはシアトル~台北桃園の直行便を開設する意思も表明している」

と伝えました。

日本経由便を直行便に切り替えようとしているのは、ユナイテッド航空(UA=UAL アメリカ・シカゴ、NASDAQ上場)で、ユナイテッドの成田~台北線は2012年(平成24年)夏ダイヤ限りで廃止されています。つまり、先に廃止になった成田~バンコク線と同様に、ユナイテッドが廃止した路線に残っていたデルタ便を、同じアライアンスのパートナー社へ移管する形で廃止とし、将来的な北米と台湾の間の直行化への布石を作ると考えれば話は早い訳です。

この報道が出る直前の1月10日、チャイナエアラインと日本航空は現在羽田~台北松山線のみとなっているコードシェア運航を日台間の全便に拡大するという発表を行いました。予定通り実施されれば、成田~桃園間はチャイナエアライン運航の毎日3便に加え、日本航空運航の毎日2往復もデルタからの乗り継ぎに使えるようになり、デルタは自社便を廃止しても代替できると最終判断した模様です。