2017年2月22日水曜日

大和ネクスト銀行の預金を海外で使うには?

2000年前後から次々と登場した「新たな業態の銀行」。インターネット専業行や、コンビニなどの店舗外ATMを得意とする銀行などがありますが、証券会社が従来投資信託形式で受け入れてきた流動資産を運用するために銀行を作ったという例もあります。

大和証券(東京都千代田区、日本証券業協会加盟)は、2011年に開業した完全子会社「大和ネクスト銀行」(東京都千代田区、全国銀行協会加盟)を通じて、預金の受け入れを行っています。これは、同じ大和証券グループの大和証券投資信託委託(東京都千代田区、投資信託協会加盟)が大和証券を通じて販売していた『ダイワMMF(マネーマネジメントファンド)』『中期国債ファンド』や、総合取引口座(銀行の総合口座に相当)利用者向けの『ダイワMRF(マネーリザーブファンド)』の後継として、普通預金を提供しようという狙いでネクスト銀行が創設されたためです。実際、大和投信は中期国債ファンドを昨年6月30日、MMFは昨年10月限りで繰り上げ償還、ネクスト銀行の普通預金を事実上の代替商品としました。

このため大和証券に口座がなければネクスト銀行の口座を申し込むことができず(『ダイワのツインアカウント』)、国内向けのキャッシュカードも独自のものがなく、大和証券の『ダイワカード』を使って出入金します。

大和ネクスト銀行の円建て普通預金は、そのままでは海外で下ろすことができません。成田空港や関西空港のようにセブン銀行(東京都千代田区、東証1部上場)のATMが充実していれば出発直前まで下ろせるものの、制限エリア内のセブン銀行ATMは1回に3万円までしか下ろせないという欠点があります。一旦外貨普通預金に振り替え、さらにMasterCardプリペイドカード『DAIWA SMART DEPOSIT』(愛称スマデポ)にチャージをするという手間がかかるものの、スマデポを持っていれば海外で使うことができます。

スマデポは、FXブローカーのマネーパートナーズ(東京都港区)が開発した『マネパカード』を基に、チャージ(入金)と戻し入れ(清算)を大和ネクスト銀行の外貨預金のみに絞った商品です。米ドル、ユーロ、ポンド、オーストラリアドル、港幣(香港ドル)の5種類の通貨で出入金ができるので、例えばアメリカやカンボジアなどドル経済圏では米ドルを振り替えてそのまま下ろすことができます。

ただし、普段日本円でしか大和ネクスト銀行を利用していない方でも、スマデポを利用するには外貨普通預金口座を開設し、必要な金額を円から外貨に振り替えてこないといけません。新生銀行(東京都中央区、東証1部上場)の『Powerflex』や住信SBIネット銀行(東京都港区、全銀協加盟)のように、海外で下ろす際に円建て普通預金からの出金が優先されるか自動的に外貨預金も開設される制度のほうが使いやすいという方には、あまり向きません。プレスティア(SMBC信託銀行)の前身、シティバンク銀行で米ドル建て決済クレカ『ドルカード』(前記事「シティバンク改め『PRESTIA』のクレジットカード保有者は要注意」参照)を使われていた方ならまだしも、そうでないと使い方に慣れるまで時間がかかりそうです。