2017年4月20日木曜日

個人向けPHSの新規契約受付、完全に終了へ

国内携帯3位のソフトバンク(東京都港区)は、旧ウイルコムから引き継いで現在は格安SIM『Y!Mobile』のブランドで提供しているPHS(簡易型携帯電話)サービスについて、個人向けの新規契約、機種変更受付を2018年(平成30年)3月31日限りで終了すると発表しました。それ以降は主にスマートメーターで使われる『テレメータ向けプラン』に対する、電気・ガス・水道事業体や自販機オペレータなどからの申し込みに限って受け付けるとしており、1990年代から20年以上に渡って続けられたPHSは、あと1年で事実上の産業遺産となります。

PHSは、2Gケータイが出始めだった1995年(平成7年)、音声通話からサービスが始まりました。当時は、auの前身であるDDIセルラーグループやNTT docomoが別会社を作って全国展開しており、90年代の末には中国や台湾、タイなどでも事業者が立ち上がって全盛期を迎えました。

しかし、3Gケータイの普及が進むにつれて旧規格化したPHSは淘汰される方向になり、2010年にベトナム、2015年には台湾でサービスが終了。昨年5月、香港でのサービス終了時には香港島外からPHS機能の付いた端末を持ち込んだだけで多額の罰金を科されると報じられ、日本でも騒ぎになりました(前記事「香港へのPHS持ち込みが「違法」になる」参照)

当のY!Mobileは、旧ウイルコム時代の2013年秋モデルで、3Gケータイとの併用ができるデュアル端末(AQUOS PHONE es)を発売し、将来的なPHSサービスの終息を予想した販売政策を実行していました(前記事「Y!Mobileの「3年縛り」にやられた!1年残して解約」参照)。この機種が発売から既に4年を過ぎ、PHS専用端末として最後に発売された『Heart 401AB』も2年を経て、今後は同じY!Mobileの携帯網へMNPしてもらう形でiPhoneへ移行させるというスキームを描いたのではないかと、Traveler's Supportasiaでは分析しています。

なお、PHSのバックボーンとなっている固定電話も、NTT(日本電信電話:東京都千代田区、東証1部上場)が2025年までにIPベースの方式へ切り替えると発表しており、向こう10年以内にはテレメータ通信も携帯電話網や光回線に取って代わる予定、ソフトバンクではPHSサービスの完全終息に向けたスケジュールを作成し、近く発表するとしています。