2018年5月21日月曜日

ラオス北部とベトナムを結ぶバスが充実!

ベトナムとラオスの間には長大な国境線があり、何か所ものボーダーが開いています。バックパッカーの間ではビエンチャン~ビン・ハノイ間やサワンナケート~ダナンといったオープンツアーバスが通るラオス中部以南の国境が有名ですが、北部の国境も最近、人と物の動きが活発になってきました。

ラオス側の出発点は、ルアンパバンからさらに200km北に行った中寮国境地帯への入口の町、ムアンサイ(別名ウドムサイ:ウドムサイ県サイ郡)。ムアンサイとベトナム北西端のディエンビエンフー市(ディエンビエン省)を結ぶ国際バスが、1日に1本、ベトナム側の事業者によって運行されています。

ムアンサイ出発は朝8時45分。一方、ディエンビエンフーからは早朝5時30分の出発だといい、ラオス側から乗った方が朝の忙しい時間帯に余裕を持てます。ちなみに、この路線は毎日運行ですがディエンビエンフーからはウドムサイ打ち切りの他に、ルアンパバン行きとルアンナムター行き、フェイサイ(ボーケオ)行きが出ており、ウドムサイでラオスの交通の屋台骨ともいえる13ノースロード(国道13号線)を反対方向へ分かれていきますので、注意が必要です。

運賃もディエンビエンフー発車時点でルアンパバンやルアンナムターまで購入すると割高になる恐れがあるので、ウドムサイより先へ行くのであれば、ルアンパバンから来るルアンナムター行きやフェイサイ行きなど、ラオス国内のバスに乗り換えたほうが安く済む可能性があります。

運賃はウドムサイ発が95,000Kip(380Bt.)。ディエンビエンフー発は230,000ドン(US$10)です。この他にラオス側のイミグレ時間外手数料がかかることがあります。

この他に、ウドムサイ発ソンラ経由ハノイ(ミーディンバスターミナル)行きと、ディエンビエンフー・タンホア経由ビン(ゲアン省)行きが存在することも判明しました。どちらも毎日9:30発で、ハノイまで25万Kip(1,000Bt.)。こちらはラオス側の事業者による運行ですが、ベトナム式の寝台バスを使用しているので、車内で寝転がって目的地まで行くことができます。

2018年5月17日木曜日

デルタスカイマイルAMEXカードが改悪!上級資格維持に決済高が必要

日本アメックス(東京都杉並区)は、デルタ航空(DL=DAL アメリカ・アトランタ、NYSE上場)との提携商品『デルタスカイマイルアメリカン・エキスプレス・カード』の上級会員資格付与を見直します。年間利用高が100万円(1ヶ月平均84,000円)に満たない場合、上級会員資格そのものが取り消され、150万円(1ヶ月平均125,000円)に満たないと、空港のラウンジが利用できなくなってしまいます。

従来は、『デルタスカイマイルアメリカン・エキスプレス・カード』に入会すると、無条件でシルバーメダリオン(スカイチームエリート:スターアライアンスのシルバー、ワンワールドのルビーに相当)が付与され、ゴールドカードはゴールドメダリオン(スカイチームエリートプラス:スターアライアンスゴールド、ワンワールドサファイア相当)が無条件で獲得できていました。搭乗マイルの基準を満たさなくてもANAカードスーパーフライヤーズクラブやJALグローバルクラブ相当のサービスを受けられる訳で、スカイチームメンバーズを利用する機会の多い方にはゴールドカードの年会費26,000円だけで、エリートプラスを維持できる魅力がありました。2016年10月まで運航していたデルタの成田~バンコク線を愛用していたユーザーの中には、スカイマイルAMEXカード会員も多く、路線廃止後も同じスカイチームメンバーズのチャイナエアライン(CI=CAL)やベトナム航空(VN=HVN)利用でタイへ行く際に、デルタのラウンジを利用している人も多いはずです。

これが6月2日(土)から新しいプログラム体系に移行します。最初の1年間は激変緩和措置として現行通りのメダリオンが付与されるため、実際にメダリオンの降格が行われるのは、2019年6月以後となりますが、2018年6月から2019年5月までの1年間にスカイマイルAMEXカードで航空券購入やその他の買い物、各種決済をした合計の利用高が100万円(1ヶ月平均84,000円)に満たない場合、19年6月以降はメダリオンそのものが取り消されて一般会員に降格となってしまいます。同様に100万円以上150万円(1ヶ月平均125,000円)に満たないと、ゴールドカード所持でもシルバーメダリオンとなり、制限エリア内のラウンジが利用できなくなります(一般エリアのIASSラウンジは引き続き利用可能)

米系本格航空会社(FSC)は特に収益にシビアな面があることで知られており、AMEX側もクレジットカード機能を使ってもらって手数料収入を得るのが本業とはいえ、スカイチーム系の上級会員資格を安く維持していくには一番の早道だっただけにFacebookやTwitterでは早くも会員の怒りの声が上がっており、中には日本アメックス新会員課のやり方があまりにもひどいなどとFacebookで攻撃して炎上させようとする過激論者も出てきています。

2018年5月15日火曜日

タイ~マレーシア間国際列車ダイヤ変更!切符の通し購入不可能に

鉄道庁(SRT、パトゥムワン区)とKTMB(マレーシア鉄道公社、クアラルンプール)は、タイとマレーシアの国境を通過する国際旅客列車について、取り扱いを大きく変更しています。タイ側、マレーシア側それぞれの列車がパダンバサール駅(ソンクラー県サダオ郡)で打ち切られ、以前あったバンコク(ファランポーン)~バターワースや、ハジャイ~KLセントラルといった通し運転の列車は廃止になっていますので、注意が必要です。

KTMが近代化政策の一環で、パダンバサール駅を含む西海岸線全線を日本のJR在来線と同じ複線電化に改良したのに対し、タイ側は在来線鉄道への投資に消極的で、ディーゼルカーや機関車牽引による運転を維持しているためです。

《タイ側寝台特急はハジャイ打ち切りに》
タイ側の国際列車として、バンコク(ファランポーン)~バターワース間に寝台専用特急(SP.EXP)35/36列車が毎日運転されていましたが、この列車は時刻はそのままでファランポーン~ハジャイ(ソンクラー県ハジャイ市)間の運転となり、列車番号も『31/32』と変わっています。

ファランポーン~パダンバサール間運転の寝台専用特急自体は存続しているものの列車番号が『45/46』と改められ、ファランポーンを31列車の25分後に出発する後続のスンガイコロク行き寝台専用特急『37/38』列車にハジャイまで併結されることになりました。これは日本に当てはめると、旧国鉄時代はもちろん、JRになってからも存在する二層建て列車(寝台特急『サンライズ瀬戸・出雲』など)と同じ考え方になります。

《ハジャイ~パダンバサール間の短距離列車》
バンコクを前日の午後に出発した31列車に、ハジャイ駅で接続するパダンバサール行きの列車として、『DRC947』列車が運転されています。また午後には、KLセントラル直通だった21列車のタイ国内区間における代替として、『DRC949』列車が運転されています。
パダンバサール発は、どちらも折り返しとなる『DRC948』『DRC950』列車の1日2本。これに、ファランポーン直通の寝台専用『SP.EXP45/46』が加わって、1日3往復の運転を維持する形となっています。

『DRC』列車はハジャイ発着の他の列車と運賃が別建てで、切符も原則ハジャイ駅かパダンバサール駅での購入です。大人片道80Bt.。

《KL直通の列車はパダンバサール打ち切り》
KTMの列車も2000年代までは運転本数が少なく、バックパッカーの泰馬国境越えはペナンやバターワースとハジャイを結ぶロットゥーが中心、マレーシア側からの入国者もタイ側の花街ダンノックチャンルンを目指してマイカーで乗り付けるエロ事師ばかりという、ある意味寂しいものでした(前記事「サダオからマレーシアへ」参照)

現在は「コミュータ(Komuter)」と呼ばれるバターワース行きの普通電車が日中60分間隔で1日14本、「ETS(Electric Train Serviceの略)」というクアラルンプール直通特急電車が毎日5往復運転されています。

KLからハジャイまで直通する夜行の客車列車だったインターシティ『21/22』列車もETSに切り替えの上、パダンバサール~グマス(ヌグリスンビラン州グマス市)間の『EG9421/9424』列車に生まれ変わりました。9424列車はKLセントラル駅23時27分発の夜行列車で、パダンバサール5時1分着。所要5時間34分という大幅なスピードアップを実現しました。


2018年5月14日月曜日

AMEXならグリーンでもカードラウンジが使える!

日本などの先進国では、クレジットカードの上級会員が無料で入場できる『カードラウンジ』が空港に設けられていることがあります。


カードラウンジは日本であれば、ゴールドカード以上の上級会員なら無料、一般カード所持者は1回につき1,000円程度の料金を払う必要があります。三井住友カード(東京都港区)などVJAグループ各社や、JCB(東京都港区)、三菱UFJニコス(東京都文京区)など日本資本の大手カード会社は大概この原則に従っています。しかし、日本アメックス(東京都杉並区)はゴールドだけでなく、緑色のカード(アメリカン・エキスプレス・カード、別名グリーンカード)の会員でもカードラウンジに無料でアクセスできます。

これは、日本の主要空港でカードラウンジを運営しているIASS(東京都中央区)と、各カード会社の契約内容に違いがあるゆえに成せるものです。IASSと日本アメックスの契約は、センチュリオン(ブラック)、プラチナ、ゴールド、グリーンの会員を対象者としているのに対し、三井住友カードはプラチナ、ゴールドのみでエグゼクティブ(一般カードベースの旅行傷害保険付き)は有料。楽天カード(東京都世田谷区)も、プレミアム、ゴールド保有者のみ無料となっているためです。

董事長ふくちゃんは、再び日本をベースとするようになった2017年に、AMEXグリーンカードを取得しました。今回、タイとラオスへの取材旅行に出発するにあたって、成田国際空港第2ターミナル4階のIASSラウンジにAMEXグリーンカードを提示して入場しました。

日本以外の国でも、AMEXグリーンカードでラウンジへ入場できることがあります。IASSは仁川空港(韓国)とホノルル・ダニエルイノウエ空港(アメリカ・ハワイ州)に自社ラウンジを持っており、日本と同一の条件で利用可能。バンコクの『ミラクルラウンジ』ではAMEXゴールドまたは楽天プレミアムカード所持者でプライオリティパスを発行済みなら無料。ただしプライオリティパスがない場合はスワンナプーム空港が1回1,000Bt.、ドンムアン空港は1回600Bt.の有料利用となります。

2018年5月4日金曜日

ジェットスターパシフィックは上級運賃でも機内食が付かない!

ジェットスターグループの運賃体系は、荷物の有無や予約変更の可否などで大きく4つに分かれます。機内持ち込み手荷物のみが許される『Starter』と、預け手荷物20Kg(日本国内線は10Kg)、予約変更をセットにした『Starter Plus(日本名ちゃっかりPlus)』、預け手荷物30Kgと予約変更、万が一乗れない場合の払い戻しまで認められる『Starter Max(日本名しっかりMax)』、そして、預け手荷物がない代わりに機内持ち込み手荷物10Kgまで認められ、予約の変更と払い戻しもできる『Starter FlexiBiz(日本名フレックスBiz)』です。

このうち、Starter以外の運賃では機内食も含まれることになっていますが、ジェットスターパシフィック(BL=PIC、ベトナム・ホーチミンシティ)運航便では機内食のサービスが付きません。Webサイトの説明文にも

「『ちゃっかりPlus、『しっかりMaxまたは『フレックスBizをお選びいただくと、ご利用のフライトによって、機内バウチャー、インフライト・ ミールディールまたはお食事が含まれます(ジェットスター・パシフィック航空(BL)には含まれませんので、ご注意ください)

とあり、利用者に注意を呼びかけています。

実際に、ジェットスター・ジャパン(GK=JJP、千葉県成田市)の成田〜マニラ線や、ジェットスターアジア(3K=JSA)の関空〜クラークアンヘレス線に乗ったことのある方が、ジェットスターパシフィック担当の関空〜ハノイ線でも同様のサービスがあるかと思って乗ったら機内食だけが出て来ず、コールセンターにクレームするということがよくあるようです。ジェットスターと同じように複数の事業会社を抱えるAirAsiaグループではこのようなことは原則としてないだけに、余計に目立ちます。ジェットスターには事業会社ごとの事情があるということを理解することが必要です。

2018年5月3日木曜日

新生銀行がATM手数料導入!無料にするには何が必要?

新生銀行(東京都中央区、東証1部上場)は、総合口座『パワーフレックス』ユーザーに対するランク制度『新生ステップアッププログラム』を今年10月から一部見直します。3段階のうち最も低い『新生スタンダード』の利用者はATMから現金を引き出すときに、手数料がかかるようになります。

新生銀行は、2001年(平成13年)のパワーフレックス発売と同時に、ATM手数料の制度を全面的に見直しました。旧日本長期信用銀行の時代には現在の3メガバンクと同様かそれに近い手数料体系で、利用できる場所も限られていましたが、Powerflexではセブン銀行(東京都千代田区、東証1部上場)と提携し、セブン銀行のATMでは土日も含め24時間手数料無料で出入金できるという、当時としては画期的な体系を採用。旧長銀時代には極めて少なかった個人口座数を爆発的に増やしました。

その後、セブン銀行との提携は深化し、フィナンシャルセンター(支店)に設けられていた自行ATMは2017年6月までに、すべてセブン銀行管理の機械に入れ替えられました。2000年代に京浜急行電鉄(東京都港区、東証1部上場)の駅に設けられていた店舗外ATMも、京急とセブン&アイホールディングス(東京都千代田区、東証1部上場)の提携を理由に入れ替えられ、新生銀行は日本で初めて、自前のATMを持たない商業銀行に生まれ変わりました。

さらに今回、既に他行で広がりを見せているデビットカードやブランドプリペイドカードを活用した日本社会のキャッシュレス化対応の一環という名目で、ATMによる引き出し手数料を一部有料化するという方針転換を行うことにしました。パワーフレックスは発売18年目で、大きな節目を迎えることになります。

キャッシュレス化対応の実行にあたっては、子会社のアプラス(東京都千代田区)が発行するブランドプリペイドカード『GAICA(ガイカ)』を活用することにします。GAICAは元々海外での利用に特化したカードでしたが、パワーフレックスとの紐付けオプション『Flex機能』があり、これを利用しているユーザーが一定金額のチャージを行えば、新生ステップアッププログラムの2番目のランク『新生ゴールド』に昇格して引き続き、出金手数料が24時間無料になるシステムを検討するとしています。逆に、GAICAを持っていなければ大きな資産を預けていない限り新生スタンダードのままで、10月以降は手数料がかかるという訳です。

普通預金の残高だけで新生ゴールドに上がるには、100万円以上必要。これはPRESTIA(SMBC信託銀行:東京都港区)の口座維持手数料を要求される基準の2倍にあたり、ちょっと頑張れば達成できないことはないかもしれません。しかし、最上ランクの『新生プラチナ』へは2,000万円以上、投信でも300万円以上の残高を要求されます。少しでも安く上がるには、同じくアプラスが発行している『ラグジュアリーカードMasterCard Titanium』の引き落とし口座を新生銀行にするという手がありますが、年会費54,000円(消費税込み)がかかる上、他社のプラチナカードに相当する厳しい審査があるため新卒後数年程度の方が入会するのは難しいとみられます。

2018年4月30日月曜日

北朝鮮独自の『平壌時間』わずか3年弱で廃止

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、2015年8月に光復(日本統治からの解放)70年を記念して導入した独自の標準時体系を5月5日(土)をもって廃止する政令を出しました。これにより、北朝鮮の標準時は韓国や日本が採用している東経135度子午線を軸とするUTC+9時間に戻され、独自の標準時は都合3年弱で終了することになります。

朝鮮半島は、中国大陸の標準時である中原標準時間の子午線である東経120度線と、日本標準時の135度の中間にあたる、東経127度30分が半島中央部を縦断しており、日本統治以前の旧大韓帝国の時代には、この線を基準にして日本と中国(当時の大清帝国)それぞれに対して30分の時差を設ける独自の標準時体系が行われていました。

日本の植民地支配が始まった後に朝鮮半島はUTC+9の日本標準時に合わせられ、光復し共和国が創建されてからも、標準時子午線が自国を通っていない場合は一般的に東側にある(最寄りの)子午線を使うという国際慣例に従って東経135度子午線基準の日本標準時を適用してきましたが、2015年(主体103年)8月、

「光復70年の節目に際し民族の受難の歴史に終止符を打つ」(当時の最高人民会議常任委員会声明より)

という理由で大韓帝国時代と同じ東経127度30分基準の『平壌時間』が、共和国創建後初めて導入されました(前記事「北朝鮮が独自の標準時に移行!日本・韓国と30分ずれる」参照)

しかし、4月27日、文在寅(ムンジェイン)韓国大統領との南北首脳会談に臨むため板門店(黄海北道開城市)を訪れた金正恩(キムジョンウン)委員長は、

「ソウルと平壌、2つの時計があることは分断の証で心が痛い。時刻を先に統一しないといけない」

と文大統領に対して述べ、韓国(南朝鮮)と同じUTC+9に戻す意向を表明しました。UTC+9になることで、韓国・日本とは時差が無くなり、逆に中国以西の国に対しては時差がこれまでの30分から1時間になります。

外国人旅行者への影響としては、平壌・順安空港を発着する航空便の発着時間が現在よりも30分早い表記になるほか、海外向けラジオ『朝鮮の声放送』を含むすべての放送の運行が現在よりも30分早くなります。ただどちらも、2015年8月以前の表記に戻るだけのため影響は少ないとみられます。

2018年4月28日土曜日

富士山静岡空港~東南アジア直行便は実現できるのか?

富士山静岡空港(静岡県島田市)の民間移譲を目指している静岡県空港振興局空港政策課は20日、優先交渉権を獲得していた東京急行電鉄(東京都渋谷区、東証1部上場)と三菱地所(東京都千代田区、東証1部上場)のコンソーシアムと基本協定を結んだと発表しました。東急グループが空港運営権を獲得するのは、仙台空港(宮城県名取市)に続いて2ヶ所目。三菱地所は、高松空港(香川県高松市)と下地島空港(沖縄県宮古島市)に続いて国内3ヶ所目の空港運営参画で、来年4月から両社による運営がスタートする予定です。

県庁からは同時に、東急・三菱地所グループが行った提案の概要とそれに対する審査講評書が公開されました。この中で、将来的に静岡空港と東南アジアの都市を結ぶ直行便の開設を目指す、その就航先候補としてバンコク(スワンナプームまたはドンムアン)が挙げられていると、地元紙の静岡新聞が報じました。

提案概要書によると、20年先の2038年までに就航路線を現在比6路線増の17路線以上にし、新規に就航を目指す地点として仙台・高松に加えて成田(千葉県成田市)、バンコク(スワンナプームまたはドンムアン)、香港、グアムを例示しました。

国内3空港への路線は、地元大資本の鈴与(静岡市清水区)の子会社、フジドリームエアラインズ(JH=FDA、静岡市清水区)が運航することを想定しています。FDAは元々、鈴与が富士山静岡空港をハブとしたリージョナルジェット機輸送を手掛ける狙いで作った会社なので、鈴与の立場からすると静岡が県営名古屋空港(愛知県豊山町)に次ぐ第2ハブになってしまっている現状を必ずしも良しとは思っていないのではないでしょうか。そういう意味では、FDAの「地元回帰」を実現できるチャンスという訳。国内LCCのジェットスター・ジャパン(GK=JJP、千葉県成田市)やPeach(MM=APJ、大阪府田尻町)は、スーパーハブないし東日本の重要拠点としている成田空港との兼ね合い、エアアジア・ジャパン(DJ=WAJ、愛知県常滑市)も本拠地中部セントレアとの距離が近すぎることから富士山静岡空港へ進出するのは難しいのではないかと考えます。

一方海外は、格安航空会社(LCC)の積極的な導入を進めると謳われています。香港やグアム線であれば、香港エクスプレス(UO=HKE)は元より国内LCC各社にも導入されているエアバス320クラスでも十分運航が可能ですが、東南アジア直行となると、世界遺産富士山を持つ観光地の地元とはいえ大型機で運航するのはまだまだチャレンジングな面があり、小型機材の性能向上がカギを握ってきます。

例えばシンガポールの場合、シルクエアー(MI=SLK)が日本線に投入しているB738や、ジェットスターアジア(3K=JSA)のエアバス320ceoでは、沖縄へは直行できるものの日本本土は西日本がギリギリ程度の航続距離しかなく、小型機で東日本へとなると、後継型でエンジン性能が向上したB738MAXやエアバス321neoの納入を待つことになります。Scoot(TR=TGW)のB787ファミリーでは直行が可能ですが小型機と比べて100席以上も座席数が多く、日本とシンガポールの間に経由地1ヶ所を入れて、採算を確保している状況。この手法を静岡線でも取れるなら、つまり台北やドンムアン経由の富士山静岡というのであれば、可能性は十分あり得ます。

バンコク線では、現状はチャイナエアライン(CI=CAL)で台北桃園乗り継ぎがあるものの広く普及しているとは言えません。直行便乗り入れによって、成田空港や関西空港と組み合わせた訪日外国人観光客向けの周遊ルートを構築してもらおうという期待をかけていると分析できます。

とはいえ、タイ側のLCCとして日本に乗り入れているタイエアアジアX(XJ=TAX)とNokscoot(XW=NCT、ドンムアン区)は共に大型機を使用しているため、富士山静岡空港クラスの地方空港では一度に400人近く乗れる大型機で採算が合うかというと厳しいのも現実です。タイライオンエア(SL=TLM、ドンムアン区)が持っているB739なら、LCC運航に必須の高い搭乗率を維持できる可能性はあります。

ベトナムの場合は、ハノイとホーチミンシティのどちらに就航するかで対応が変わってきます。ハノイであれば日本からの距離が比較的近く、ジェットスターパシフィック(BL=PIC、ホーチミンシティ)とベトジェットエア(VJ=VJC、ハノイ)が持っているエアバス320ceoでも直行可能。しかし、ホーチミンシティではエアバス321クラスが必須となり、A321を持っていないジェットスターパシフィックは直行便を運航できないことになります。

台北桃園線も、チャイナエアラインの完全子会社になったタイガーエア台湾(IT=TTW)をどのタイミングで就航させるかが課題になってきます。韓国線では、エアソウル(RS=ASV)に続いてグアムやサイパンなどへの以遠権行使も視野に入れているチェジュ航空(7C=JJA)の新規就航を実現できるか注目されます。

2018年4月27日金曜日

阪急阪神『レールウェイカード』わずか2年で終了へ

阪急阪神ホールディングス(大阪市北区、東証1部上場)と阪急電鉄(大阪市北区、日本民営鉄道協会加盟)、阪神電気鉄道(大阪市福島区、民鉄協加盟)は、2017年4月から発売している自社グループ専用磁気式ストアードフェアカード『Railway CARD(レールウェイカード)』を、2019年(平成31年)春を目標にJR西日本(大阪市北区、東証1部上場)のICカード『ICOCA』に代替する方針を正式に発表しました。Railway Cardはわずか2年余りで発売を終了することになり、同時に前身の『ラガールカード』以来30年に及んだ阪急の磁気式ストアードフェアカードの歴史にも終止符が打たれます。

Railway CARDは、1月31日で自動改札機での利用を終了したスルっとKANSAI磁気カードの後継商品として、2017年4月から発売が開始されました。阪急電鉄にはスルKAN・PiTaPaを事実上開発した事業者としての意地や、阪急阪神東宝グループとしてのJR西日本に対する対決意識があり、加えてICOCA導入のための設備投資を少しでも遅らせたい財務事情などが重なって、すっかり『枯れた技術』となったスルKAN・ラガールスルーのシステムをもう少し延命させたかったというのが発売開始の真相です。

しかし、スルKAN協議会はスルKAN磁気カードの後継商品としてICOCAを選定するため、JR西日本と業務提携をしていました。そして、阪急・阪神からの直通電車があるOsaka Metro(大阪市高速電気軌道:旧大阪市営地下鉄、大阪市西区)と近畿日本鉄道(大阪市天王寺区)がスルKAN磁気カード終了と同時にICOCAに一本化したことで、Railway CARDの優位性は完全に失われました。Railway CARDは阪急阪神東宝グループがICOCAを全面導入する、悪く言えばJR西日本の軍門に下るまでの『つなぎ商品』となってしまい、阪急阪神によるICOCA発売開始が決まった時点で、終了へと向かうことになりました。

阪急阪神では現在もPiTaPaを基幹として交通系ICカードのサービスを組み立てており、ICOCAはストアードフェア乗車のみに限られています。改良にはそれなりの時間を要するため、ICOCAの発売開始は1年先の2019年春頃を予定します。それまでは、ICOCAをはじめとする全国相互利用サービスに対応した交通系ICカードは駅の自動券売機でのチャージができず、各駅至近にある大手コンビニチェーンの店舗でチャージをしてから電車に乗らなければなりません。

なお、訪日外国人向けに初回チャージ額を積み増した特別なICOCA、『KANSAI ONE PASS(関西ワンパス)』も同様の取り扱いとなります。

2018年4月24日火曜日

ノックスクート成田就航決定!Scootバンコク経由も存続

ノックスクート(XW=NCT、ドンムアン区)は、6月1日から成田~バンコク(ドンムアン)線の運航を始めると正式に発表、航空券の販売をスタートしました。2015年夏スケジュールからの就航を目指していたものの直前にタイ航空当局が国際民間航空機関(ICAO)の重大懸念(SSC)を受け、無期限延期されていたものです。親会社Scoot(TR=TGW)の成田~ドンムアン~シンガポール線も存続し、成田とドンムアンの間にScootブランドで毎日2便が運航されます。

《6月1日から有効》
XW102 DMK0220~NRT1025 DAILY
XW101 NRT1355~DMK1825 DAILY

(機材はB772ER Scootbiz=ビジネスクラス24席、エコノミークラス391席)

ノックスクートは、同じバリューアライアンスに加盟するScootとノックエア(DD=NOK、サトーン区)の合弁で2014年に設立された会社で、既に就航していたタイエアアジアX(XJ=TAX、ドンムアン区)のように、ノックエアの大型(双通路)機部門的な役割を果たすことが期待されました。

14年9月、タイエアアジアXが成田~ドンムアン線に毎日1便で就航し、ノックスクートも翌15年3月の夏スケジュールからの就航計画を申請して追随しますが、認可直前でチャーター専門キャリアだったビジネスエア(8B=BCC)が運航を停止。これを受けて運輸省民間航空局(CAAT:サトーン区)にICAOの抜き打ち監査が入り、航空運送事業許可(AOC)を審査する体制や担当官のスキルが不十分だとして、SSCを交付されるに至りました(前記事「ICAO重大懸念でノックスクート運航開始できず」参照)。この時点で既に増便を認可されていたタイエアアジアXは15年4月以降も毎日2便運航を継続できたのに対し、ノックスクートは成田線開設の認可自体を取得できる見通しが立たなくなり、実質代替運航の形でScootがドンムアン経由の成田~シンガポール線に就航。先行するタイエアアジアXに勝負を挑みました(前記事「Scoot成田線にバンコク経由便が登場」参照)

それから約2年の間、ノックスクートはSSC発行に伴う主要各国の制裁に追随しなかった中国や台湾への路線を細々と運航しながら、本来ならドル箱路線となるはずだった日本への就航申請が可能になるのを待っていました。SSC発行から2年半を経た2017年10月、ICAO臨時理事会の決議でSSCは解除され、ノックスクートは日本線就航を目指して、国土交通省航空局国際航空課(東京都千代田区)に「外国人国際航空運送事業の経営許可」(AOC)を申請しました。当初は3月25日(日)からの夏スケジュールで就航することを目指しましたが、日本側の代理店業務を行うScoot日本支社(東京都千代田区)の立ち上げが6月にずれ込むため、ノックスクートも6月からの就航とすることにし、国交省は4月20日(金)付でAOCを交付。航空券の販売を始められる体制が整いました。

しかし、タイエアアジアXの成田~ドンムアン線は気付くと毎日3便にまで増えていました。そして、Scoot便の搭乗率も連日、満席に近い90%以上をキープしているといい、Scootでは

「バンコク止まりとシンガポール行き、機材も777と787。時間帯の面でも選択肢があることは良いこと」

と判断して、成田~ドンムアン~シンガポール便を今後も存続することを決定しました。

TR868 SIN2220~2345DMK0045+1~NRT0850+1 DAILY
TR869 NRT1000~1500DMK1700~SIN2030 DAILY

(機材はB788 Scootbiz21席、エコノミークラス314席)