2018年4月27日金曜日

阪急阪神『レールウェイカード』わずか2年で終了へ

阪急阪神ホールディングス(大阪市北区、東証1部上場)と阪急電鉄(大阪市北区、日本民営鉄道協会加盟)、阪神電気鉄道(大阪市福島区、民鉄協加盟)は、2017年4月から発売している自社グループ専用磁気式ストアードフェアカード『Railway CARD(レールウェイカード)』を、2019年(平成31年)春を目標にJR西日本(大阪市北区、東証1部上場)のICカード『ICOCA』に代替する方針を正式に発表しました。Railway Cardはわずか2年余りで発売を終了することになり、同時に前身の『ラガールカード』以来30年に及んだ阪急の磁気式ストアードフェアカードの歴史にも終止符が打たれます。

Railway CARDは、1月31日で自動改札機での利用を終了したスルっとKANSAI磁気カードの後継商品として、2017年4月から発売が開始されました。阪急電鉄にはスルKAN・PiTaPaを事実上開発した事業者としての意地や、阪急阪神東宝グループとしてのJR西日本に対する対決意識があり、加えてICOCA導入のための設備投資を少しでも遅らせたい財務事情などが重なって、すっかり『枯れた技術』となったスルKAN・ラガールスルーのシステムをもう少し延命させたかったというのが発売開始の真相です。

しかし、スルKAN協議会はスルKAN磁気カードの後継商品としてICOCAを選定するため、JR西日本と業務提携をしていました。そして、阪急・阪神からの直通電車があるOsaka Metro(大阪市高速電気軌道:旧大阪市営地下鉄、大阪市西区)と近畿日本鉄道(大阪市天王寺区)がスルKAN磁気カード終了と同時にICOCAに一本化したことで、Railway CARDの優位性は完全に失われました。Railway CARDは阪急阪神東宝グループがICOCAを全面導入する、悪く言えばJR西日本の軍門に下るまでの『つなぎ商品』となってしまい、阪急阪神によるICOCA発売開始が決まった時点で、終了へと向かうことになりました。

阪急阪神では現在もPiTaPaを基幹として交通系ICカードのサービスを組み立てており、ICOCAはストアードフェア乗車のみに限られています。改良にはそれなりの時間を要するため、ICOCAの発売開始は1年先の2019年春頃を予定します。それまでは、ICOCAをはじめとする全国相互利用サービスに対応した交通系ICカードは駅の自動券売機でのチャージができず、各駅至近にある大手コンビニチェーンの店舗でチャージをしてから電車に乗らなければなりません。

なお、訪日外国人向けに初回チャージ額を積み増した特別なICOCA、『KANSAI ONE PASS(関西ワンパス)』も同様の取り扱いとなります。